ウォークインクローゼット
専業主婦の憩いの場はウォークインクローゼット
山本ユリヤ(25)は結婚してまだ1年ちょっとの新米主婦である。結婚してそれまでの勤め先を寿退社し、その後専業主婦の生活を楽しんでいる。
今後再び外へ出てパートか何か仕事を始める予定はと尋ねると、あっさりと「いいえ」の返事が返って来たので理由を尋ねてみた。
ユリヤ談:私は一人でいることがとっても好きで、特に狭い空間で1人籠もっているのが何よりもの娯楽だったりするんです。
最近では、主人が不在の時間帯、家(ウチ)のウォークインクローゼトの中で何時間も過ごしています。
心がとっても安らぐんですよ。
あの狭い空間最高。
ここを自分の空間にしたくて、今のアパートがイイがイイって主人にねだったのは事実なんですよ。
狭い空間が好きになったのには理由がある
ゆりや談:私は子供の頃から狭い空間が大好きです。実家暮らしの頃、自宅に自分専用の6畳の部屋があったが、6畳部屋が広すぎると感じて落ち着かなかった。
そこで自分の部屋にいるときは、よく、設置してあるベットの上に乗ってそこを一つの空間として楽しんでいた。
更には部屋にある押し入れに住みたいなんて夢さえも見ていた。
何故、私が狭い空間が好きなのかは、大人になって気付く事が出来た。
私には上に兄と姉、二人のきょうだいがいるのだが、確か二人が小学校に上がって、私がまだ保育園児位の幼い時期、上の二人がケンするたび、私は怯えているのは母は心配し、家の車庫に避難させてくれていた。
毎回ゴザを敷いてくれて、ケンカが止んだら迎えに来るから、ここに座っていなさいと言って、暫く一人にさせられていた。
私は上のきょうだいのケンカの声が届かない空間で安心に包まれ、やがて車庫という狭い空間も気に入って行ったのです。
やがて二人のケンカの避難とは関係ない時でも、自ら車庫に籠もって、そこにあったミニ黒板で文字を書いて遊んだりもしていた記憶もある。
車庫は電気がついていたので、気温が低い時期でなければ、父が乗る車が不在な時は、その空間を自分の城のように利用していたのである」
いつかは極狭空間付きのマイホーム暮らし
ユリヤは、狭い空間が好きであるから当然のごとく、広い空間を苦手とする。一度広い空間が苦手で、こんな経験をしたという。
ユリヤ談:大学進学と共に私は実家を離れ、アパートで独り暮らしをする事になった時のことだ。
住むと決めたアパートにいざ住み始めてみると、自分にしては広すぎると感じて、落ち着かないようになって行った。
そこで実家に電話して、申し訳ないけど、今のアパートを解約して、他に引っ越したいからと申し出ることになったのである。
敷金や礼金に保証人の問題、そして引っ越し費用など、両親に再び世話をかけることが申し訳なくて仕方なかった。
けれども、自分にとっては死活問題とも捉えられるくらい、広さが住むほどに気になって、頭がおかしくなりそうになったから仕方なかった。
必死になって事情説明して、二人に受け入れて貰えたのは幸いだった。
そして次は出来るだけ狭いアパートを探し出し、何とか落ち着いた生活を過ごせるようになったが、自分がどれほど狭い空間が好きで、広い空間が苦手か思い知った出来事と、前向きに捉えて行った」
今後も狭い空間を愛します
大学卒業後も、結婚まで一人暮らしを続けたユリヤだった。社会人となったのを機に越したアパートは、学生時代よりも狭い所をずっと考えていたのでその通りにした。
だがいざ越してみると、持ってきた荷物が収納できず、暫く荷物と共に暮らした時期もあった。
かと言って、もう少し広い部屋に越そうなんて思う訳もなく、ものを減らしたり収納に工夫して何とか乗り切った。
今の夫と未だ恋人同士の時、その部屋に初めて招かれた夫は、余りにもの狭さに驚いていたという。
だが狭い空間好きだと素直に話すと、自分の知り合いにも似たようなヤツがいるからと、言ってくれたのがとっても嬉しかったとも話す。
とはいっても、夫は、ユリアと違って狭い空間を好むわけではない。
やがて結婚の話が盛り上がる頃には、近い将来結婚して一緒に賃貸住宅で暮らすことになる時は、狭い家は御免だからねと言われたユリヤは、分かりました、ならばウォークインクローゼット付きのアパートにして、そうすれば私はそこの空間を憩いの場所にするから大丈夫と伝えた。
その様な訳で、結婚を機に二人が越した今のアパートは約束通りのウォークインクローゼット付きで、ユリアはそこで専業主婦としての一人時間の多くを、喜んで過ごすようになったのである。
ユリヤ談:夫がやがてお金ウィ溜めたらマイホームを持つことになると思うけど、その時はユリヤ専用の極狭空間をしなくてはと言ってくれている。
本当に楽しみだ!