身近に感じられるようになったグローバリズム
近年、外国人労働者が増えたと感じることはないだろうか。スーパーに行けば、海外産の野菜や肉を目にする事は珍しくないだろう。
私たちの身の回りで感じられるグローバル化と同じようなことが、世界中で進んでいる。
グローバリズムとは、このように世界を一つの市場とする思想のことだ。
国境を越えて、経済政治文化などを地球規模で拡大させる考え方だ。
この考え方自体は、古くから存在していた思想だが、冷戦の終結や通信技術の発達が、思考の急速な拡大の要因となった。
グローバリズムのメリット
グローバリズムの動きが活発になったことで、世界経済は大きく成長した。2019年時点での世界全体のGDPを1960年と比較するとなんと約60倍の規模へと成長を遂げているというから驚きだ。
自国の資源、資金のみでの発展が難しい新興国・発展途上国も、グローバル化で市場改革に乗り出す例なども挙げられる。
国境という垣根がなくなり、移民労働者として他国で働きやすくなった。
他国の産業や文化を自国の発展に活用することができる点も、グローバリズムがもたらした大きなのメリットといえるでしょう。
また、規制の緩和された自由貿易は、世界の市場の競争をより活発化させることにつながった。
インターネットの普及により、一個人が海外のショッピングサイトで買い物ができてしまう時代だ。
マーケットが拡大したことで、消費者は世界中から商品やサービスを選ぶことができる。
企業は全世界を市場にできるようになった反面、全世界の企業を相手に戦わなければいけなくなったことが、激しい競争による世界経済の大きな発展につながったと言えるだろう。
グローバリズムの課題
経済を大きく発展させたグローバリズムだが、メリットだけに着目するわけにもいかない。昨今先進国を中心に反グローバリズムという考えが台頭しているのには、理由がある。
市場拡大により競争が活発化したことで、企業の労働力確保のための外国人労働者の雇用が進み、自国民の雇用が奪われてしまう問題だ。
そして、高い人件費の自国で労働力を確保するよりも、人件費の安い国で労働力を確保するほうが、コスト面がおさえられるからと、積極的に海外で事業を拡大する企業は珍しくない。
先進国を中心としたこうした企業の海外進出の動きが、自国民の非正規雇用者や失業者人口の増加につながっていると考えられており、それが先進国を中心として反グローバリズムの考えが広がっている理由だ。
日本とグローバリズム
2020年の1月にイギリスがグローバリズムの象徴ともいえるEUを離脱したのは記憶に新しいだろう。これまで自由貿易の促進で市場を拡大する姿勢を示してきたアメリカも、自国優先の保護貿易へと変わってきている。
ほかにも各国で、反グローバリズムを掲げる保守政党が急成長するなどの動きがみられる。
日本の反グローバリズムの動き
そんな中、日本はどのような動きをみせているのか。我が国日本では、現在ヨーロッパほど移民排斥運動や極右政党の台頭は目立っていないようだ。
だが、日本においても確実に貧富の格差は広がっている。
反グローバリズムの動きは、低所得者を中心に拡がっており、彼らから支持を集める山本太郎が率いる政党「れいわ新選組」は、反グローバル、経済格差の解消を訴えている。
経済や文化の発展を進めてくれる一方で、経済格差の拡大や自国の雇用を安定させる課題とも向き合いながら、グローバリズムと向き合っていく必要があると考えられる。