福島原発事故から
福島県浜通り出身の私にとっては原発事故は他人事ではありません。福島原発事故から10年以上も経った現在でも、原発事故は収束しておりません。
4か所ある原子炉建屋の原子炉1、2、3号機ともにメルトダウン、メルトスルー(燃料溶融漏洩)があったとされ、圧力容器や格納容器の損傷などが明らかになりました。
そして、原子炉からの放射性物質の大気放散と、原子炉の注水冷却による大量の放射能汚染水の海洋漏洩が続いているといわれています。
原子炉の損傷による原子炉建屋内の高放射線量により、作業員が原子炉建屋内に入り、原子炉の状態チェックや修復作業が困難となっており、事故収束の目処は立っておらず、原発から排出された放射性物質による環境汚染が継続しているのです。
放射能の自然への影響
大気中に放出された放射性物質は、風に乗り東北・関東地方のみならず、北海道・中部・近畿地方でも検出されているとされます。更に、大気中の放射性物質は、雨や風により地表に落下し、山林、河川水、土壌、草木、建物、農産物などを汚染し、その結果、水産物、灌漑用水、水道水、浄水・下水汚泥、焼却汚泥などの二次的な放射能汚染をもたらしたのです。
最近では、汚染された土壌の処理の問題も取りざたされています。
現在は仮置場として地元の周辺に置かれていますが、これは離散している地元民の帰宅にも影響を及ぼすもので、至急に半永久的な置場(中間貯蔵施設)が求められているのです。
放射能の被爆と被曝
ところで、放射能による「ヒバク」の意味についてですが、前述しましたが一般には核実験や原子力事故で放射能・放射線に晒されることを「被曝」とい、又、「被爆」は日本で広島や長崎で経験している原爆による直接被爆で、即ち、核兵器などによる核爆発によって爆撃を受けて被害を受けること解しています。日本では原発事故や原爆による放射能被害が実際に起きているので類似する点がありますが、混同しやすいし意味も違うのです。
又、放射能被害には外部被曝と内部被曝というのがあります。
外部被曝の場合は周知のように人体の外部から直接的に放射線被曝することであり、又、内部被曝というのは、鼻からの呼吸や口からの飲食により放射性物質を体内に取り込んで内臓器官から結果として生じる放射線被曝ということになるのです。
放射能と政治問題
何れにしても「核」というのは核分裂(又は核融合とも言う)によって多量の熱を発生しますが、この熱をいかに穏やかに有効に活用しようというのが原子力発電の有効利用ということになります。この発生熱というのは同時に放射能という目には見えない厄介な異常物質を発生させます。
此の放射能というのは人間や生物の生態にとって非常に好ましくない物質で、この放射能が引き起こす害をいかにコントロールすることが大事かということが、所謂、原発の今後の利用をどうのように扱うかちうのが大きな社会問題、そして政治問題となっているのです。