あのインディーズユニットがこんな大物になるなんて…
こうして私は彼らに出会った
「今週の日曜にオフ会があるんだ。おいでよ」
つるんでいたネット友達からの、ふいの誘い。
趣味仲間はジャンル分けして付き合っていた。
その中での音楽を好む趣味仲間からの誘い。
「あの人たちもくるよ。好きだって言ってたじゃん?あの曲とかさ」
しかも、オフ会の内容にはカラオケが入っている。
生歌が聞ける。
男女ユニットの彼らに目をつけていて、よかった。
そうして私は、初めてリアルにあの彼らと会ったのだった。
あの暑い夏の日に。
いい曲、いい歌を歌う人達なのに、どうして
男女ユニットの彼ら。
男性の方は背が高く、にこやかで話しやすい。彼が曲を作っているそうだ。
女性の方は目が大きく、華奢で可愛らしい。
この人のどこからあんなにハイトーンで切ない歌声が出てくるのだろう。
カラオケで仲良くしている彼らを見て、とても微笑ましかった。
夢も聞いた。
「いつか、メジャーになりたい」
なれるよ、きっと。いい歌だもん。
そんな思いと裏腹に、いくら彼らが新曲を出しても新曲を出しても、一部の人にしかウケることはなかった。
こんなに真剣に音楽に取り組んでいるのに。
こんなにいい歌を歌っているのに。
どうして、世間は彼らを見つけてくれない?
意外なメジャーデビュー
「ゲーム音楽の主題歌を引き受けてみようと思ってね。今まで手を出さないできたけど、多方面からのアプローチをしないと」
彼はそう言った。
彼女は肯定も否定もせず、大きな瞳で何かを見ているようでした。
ゲームのジャンルで、成人向け同人ゲームの主題歌か…否定するわけじゃないけど、成人向け同人ゲームのラブソングを書いてきたわけじゃないのに。
仮にメジャーデビューできたところで、成人向けゲーム出身とレッテルを貼られないだろうか。
彼らのラブソングは、歪んだ目で見られないだろうか。
結果、彼らは成人向け同人ゲームの主題歌で脚光を浴びた。
有名になった彼らと私は…
そこからいくつかのゲームの主題歌を担当し、有名になっていった。
私と彼らは理由もなく、少しずつ疎遠になっていった。
住む世界が違ってしまっていたんだろう。
気がつくと、アニメの主題歌に彼らのユニット名が載っていた。
しかし、歌っているのは別の女性で、私の会った、あの目の大きく華奢なハイトーンの女性ではなかった。
色々あったのだろう。
私は知る由もない。
仕方がない。
彼女のいないそのユニットの歌は、今もあちこちで耳にする。
私の中に、少しの寂しさを残して。
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