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離婚調停における流れと合意内容の強制力

話合いが付かない場合の離婚調停

近年は離婚に対する社会的ハードルか下がったためか、離婚をする夫婦が増えている。
ただ、夫婦の話合いですんなりまとまれば問題ないが、どちらかが拒否した場合は、離婚調停に委ねることになる。


離婚調停では始めに家庭裁判所へ書類を提出し、調停を申立てる。
申立て自体は相手の同意が必要ない。調停申立書を提出した後は、家庭裁判所からの呼出状を待つだけである。


離婚調停における流れは以下になる。
  1. 裁判官からの調停手続きの概要の説明
  2. 調停委員からの離婚の動機、離婚の条件、調停離婚の理由に対する質疑応答
  3. 調停委員からのアドバイス・説得
  4. 調停の成立、若しくは訴訟の決定

調停の進め方

調停は裁判ではないため、両者が向かい合う形で自分の意見を主張するということは行われない。
調停での打合せは、両者が別々に調停委員との対面で行われる。
調停委員との質疑応答の際に、相手は待合室で待機しているため、両者が顔を合わせることは無い。
従って、両者とも素直に自分の思いを調停委員に話すことができる。
調停委員は申立人との質疑応答が終わると、相手からの言い分を確認し、また申立人の話を聞くということを何回か繰り返す。


2回目の調停日以降、調停委員は両者の主張や条件を整理し、両者に対して解決へ向けてのアドバイスや説得を始める。
なお、離婚調停の期間のフローとしては、申立書の提出後約1ヶ月で第1回目の調停があり、1ヶ月に1回の割合で30分~60分の調停が開かれ、3ヶ月~6ヶ月で調停成立の可否が決まる。



調停の成立と効力

調停離婚において、両者が慰謝料や財産分与、親権、養育費などの条件に合意すると、取り決められた内容に基づいて「調停調書」が作成される。
なお、調停調書は裁判における確定判決と同様の効力を持つ。
従って、慰謝料や養育費など、決められた合意内容について不履行があれば、強制執行をすることができる。
特に、調停調書の存在が有効となるのが、養育費などの金銭の未払いに対する強い抑止力である。
しかしながら、現実には調停調書で決められているにも関わらず、支払いを実行しない人が少なくない。
そのような場合は、裁判所から相手に対して支払いを督促する勧告を出してもらうことができる。
これを「履行勧告」と言う。
履行勧告のできることは、公正証書による養育費の取決めでは得られない大きなメリットになっている。

調停調書に基づく強制執行

裁判所からの履行勧告にも従わない場合は、強制執行を求めることができる。
強制執行の手続きとは、国家機関の力によって、相手の義務を強制的に履行させる手続きのことである。
なお、強制執行は債権の取立てにおける最終手段であり、相手の資金不足などで回収できない場合は、正直なところ泣き寝入りをするしかなくなる。


なお、強制執行の申立てをする裁判所は、家庭裁判所ではなく地方裁判所になる。
また、差押えをする財産によって、管轄となる地方裁判所が異なるため、注意が必要だ。


ちなみに、養育費はその他の財産を請求する権利よりも優遇されている。
通常、給料の差押えは給料額の4分の1までしかできないが、養育費は2分の1まで差押えることが可能である。
さらに、養育費の請求は給料からの天引きの形で受取ることが可能となっている。

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