政府閉鎖後の民間企業：大規模人員削減の連鎖

2025年11月3日 ゆい環境問題研究会 執筆

政府閉鎖に伴う数千人の公務員解雇が注目される中、民間セクターでも今週、大手企業による大規模人員削減が相次いで発表された。これは、経済の不確実性が高まる中、企業がコストカットに動いた結果だ。2025年の労働市場はこれまで「No hire, no fire」（雇用も解雇もしない停滞状態）と評されていたが、最近の動きはこれを覆すもの。専門家からは、雇用不安定化の兆候として懸念の声が上がっている。

全体として、今週発表された削減数は数万人規模に上り、AI投資の加速やEV需要の減速が主な要因。政府閉鎖の影響で消費意欲が冷え込み、企業収益の悪化を招いた形だ。以下で詳細を振り返る。

企業別詳細：AI投資と需要減が引き金

各企業の発表をまとめると、以下の通り。主に管理職や運用部門が対象で、AIや自動化の推進が共通の背景にある。

28日火曜日のAmazon発表は、同社史上最大規模のレイオフとして衝撃を与えた。CEOアンディ・ジャシーは「フラットな組織構造へ移行」と説明したが、実際はAIによる業務自動化が本丸。UPSはAmazonとの配送契約縮小が直撃し、年内に48,000人を削減。GMのEV工場カットは、需要低迷を象徴する。

Paramountの合併レイオフはエンタメ業界の混乱を、YouTubeのプログラムはテックセクターのAIシフトを示す。これらの動きは、短期的なコスト削減を超え、構造改革の波だ。

労働市場の転換点：停滞から不安定化へ

一部の専門家は、2025年の労働市場を「No hire, no fire」の停滞状態と評していたが、今週の発表で風向きが変わった。Forbesの分析では、10月以降のレイオフ総数は10万人超に達し、雇用不安定化の懸念が高まっている。政府閉鎖の影響で消費者信頼感が低下（Conference Board指数：95.2→92.1）、企業収益予測が下方修正されたことが火種だ。

• AI・自動化の加速: AmazonやYouTubeのように、テック企業が人員をAIに振り替える。McKinsey予測では、2025年末までに米雇用10%がAI影響下。
• セクター別需要変動: GMのEV減速は、グリーン投資の逆風。UPSの物流カットはeコマースの頭打ちを示す。
• 合併・再編の波: Paramountのように、M&A後のリストラが常態化。労働者の再就職率は低下傾向（BLSデータ：2025年Q3で62%）。

X（旧Twitter）では「#LayoffWave2025」がトレンド入りし、失業者からの「次の仕事はどうする？」という声が相次ぐ。経済学者は、失業率が4.2%から4.8%へ上昇するリスクを指摘。政府閉鎖の公務員解雇（数千人）と合わせ、冬場の景気後退を招く恐れがある。

中間層消滅の影：二極化社会の加速

これらのレイオフは、単なる企業戦略ではなく、アメリカの中間層消滅を加速させる。削減対象の多くが管理職や中堅層で、Pew Researchのデータでは中間所得層シェアが45%を割り込み、二極化（富裕層32% vs 貧困層23%）が深刻化。金融バブルで富を独占する上層部に対し、下層はSNAP給付停止（前記事参照）と相まって、生活苦が倍増する。

長期的に、消費低迷→景気後退の悪循環を招く可能性が高い。北欧型の再分配や日本の質的成長モデルが参考になるが、米政治的分極化が障壁。労働者はスキルアップ（AIリスキリング）と政策提言で対応を。ゆい環境問題研究会は、こうした社会変動を監視し、持続可能な未来を提言する。

参考文献
- Forbes: "Layoffs Hit Tens Of Thousands At Amazon, UPS..." (2025/10/28)
- LA Times: "Layoffs are piling up..." (2025/10/30)
- NY Post: "These are the 3 signs your company is about to make layoffs" (2025/11/01)

（本記事は2025年11月3日時点の情報に基づく）

Tweet